本題の前に生命保険と医療保険の違いをチェック
損害保険などを除けば保険は大きく2種類に分かれます。
生命保険と医療保険です。
そして、生命保険と医療保険にも色んなタイプがあり、図のように細かく分岐していきます。
そして、この生命保険と医療保険の違いですが、生命保険は死亡保障が付いた保険です。
つまり、万が一自分が亡くなったときに家族にお金を残すための保険です。
一方、医療保険は病気や怪我などで医療費が必要になったときの保険です。
基本的には掛け捨てタイプのみで、健康に過ごせばお金が1円も返ってきません。
生命保険 | 死亡保障が付いた保険 |
---|---|
医療保険 | 医療費が必要になったときの保険 |
一人暮らしに生命保険や医療保険がいらない5つの理由
理由1:そもそも自分が亡くなったときに金銭的に困る人がいない場合は生命保険に入る必要はない
生命保険は死亡保障がついた保険のことです。
そのため、自分が亡くなったときに金銭的に困る家族(妻や子供)がいなければ、そもそも入る必要がありません。
ここで、自分が万が一亡くなったときに残された親や兄弟のことが心配という人もいるかもしれません。
しかし、親は一般的に今まで何十年働いてきて貯めた貯金や老後にもらう年金があるはずです。
もし家庭の事情で親や兄弟が心配な場合は、生命保険に入るのではなく、その分貯金しておきましょう。
理由2:高額療養費制度を使えば医療費は安くなる
生命保険や医療保険ののことを考えたときに、絶対に覚えておいてほしいのが「高額療養費制度」です。
高額療養費制度とは健康保険証を持っていると受けられる公的な制度のことです。
この高額療養費制度の凄いところは医療費が80100円を超えた場合、超えた分に関しては1%の負担で済むところです。
言葉で言っても分かりにくいので具体例で解説します。
例:年収約370万~770万の会社員
:医療費100万円(全額負担の場合の金額)
上記の年収区分の人の計算式は以下の通りです。
“計算式 8万100円+(医療費-26万7000円)×0.01(1%)”
ここに医療費100万円を代入します。すると、
8万100円+(100万-26万7000円)×0.01=8万7430円
自己負担限度額が8万7430円となります。
通常医療費が100万円の場合は3割負担で30万円の支払いになります。
しかし、高額療養費制度を使えば8万7430円で済むことになります。
また、3割負担の30万円を支払ってしまった場合は、後から申請することで差額の21万2570円が返ってきます(30万-8万7430円)
高額療養費制度は年収区分によって自己負担額は変わりますが、一般的なサラリーマンは上の例のような感じになります。
ここで大事なのは高額療養費制度を細かく覚えることではありません。
万が一事故や病気になったときのために「高額療養費制度」というワードを覚えておくことです。
最低でも「高額ナントカ制度」とかあったな~くらいにはしておきましょう。
そうすればいざとなったときに自分で調べて制度を活用できます。
高額療養費制度については以下の記事で詳しく解説しています。
【関連】生命・医療保険選びが賢くできる!最低限知るべき医療の制度4選
[st-kaiwa1]「高額療養費制度」は絶対に覚えておきましょう!僕も突然肺気胸になったときに使いました[/st-kaiwa1]理由3:医療は日々進化している
医療は日々進化しています。
ニュースなどでも見たことがあるかもしれませんが、昔は1ヵ月くらいの入院が必要だった病気でも2週間以内で退院できるようになったりしています。
実際に厚生労働省の資料を見ると病院の平均在院日数は減少し、平成26年では33.2日になっていることが分かります。
このデータは平成26年のものなので、少し古いですが、今後も医療の発展とともに在院日数は少なくなると考えられます。
次に私たちが高齢者の時になる確率の高そうな病気の入院日数をピックアップすると上の表のようになります。
脳卒中の平均入院日数は高いですが、がんや心筋梗塞の平均入院日数は20日ほどとなっています。
つまり、高額療養費制度などを使って、大体20日~30日くらいの入院や手術に耐えられるお金があれば、わざわざ保険に入る必要がないのです。
理由4:30万の貯金があれば医療費は十分払える
先ほどご紹介した高額療養費制度を活用すれば、一般的には30万円あればほとんどの病気や怪我の医療費がカバーできます。
そのため、保険にお金をかけるよりも、医療費用のお金30万円を貯金することに力を入れましょう。
ここで、30万円も医療費に回せるお金がないよ~(泣)
と思う方もいるかもしれません。
特に就職して間もないころは貯金が少ないものです。
しかし、その場合でも心配する必要はありません。
今、30万円なくても万が一病気や怪我をしたときにあればいいのです。
若い内は大きな病気になる確率は低いので、この間に数年間かけて30万円を用意すれば大丈夫です。
例えば毎月の給料から5000円を医療費用として貯金すると
5000円×12ヵ月=6万円
6万円×5年=30万円
5年あれば医療費用の貯金30万円が貯まる計算になります。
このように今手元に医療に回せる30万円がなくても毎月少しずつ貯金して用意すればいいのです。
ただし、この時少し注意してほしいことがあります。
それは、医療費用と通常の貯金の口座を分けることです。
この30万円は万が一何かあったとき用のお金です。
通常の貯金と口座を一緒にすると使ってしまう可能性もあるため絶対おすすめしません。
万が一の時の医療費専用の口座を作って、確実に30万円をプールしておきましょう。
[st-kaiwa1]保険にお金をかける前にまずは30万円用意しましょう![/st-kaiwa1]理由5:確定申告をすれば払いすぎた税金の一部が返ってくる
一般的に支払った医療費が年間で10万を超えた場合は確定申告をすれば払いすぎた税金の一部が返ってきます。
そのため、返ってくるお金も考えるとますます保険はいらないのです。
特に、高額療養費制度を使うような大きな病気や怪我をしたときは10万円を超える可能性が高いので、もし超えた場合は医療費控除の対象になります。
ただし、確定申告時に医療費の領収書が必要になるので、必ず捨てずに保管しましょう。
※平成29年から領収書ではなく、「医療費控除に関する明細書」を提出することに変わりました。平成31年までは領収書の提出でも可能です。
できれば、常日頃から病院の領収書や医療費通知(医療費のお知らせ)などを取っておくことを勧めます。
例えば、先ほどの例で高額療養費制度を使って8万7430円の医療費がかかったとしても10万円に達していません。
もしこの年、耳鼻科や歯医者、整形外科などに通院してトータルで3万円分の医療費を払ったのに、領収書や医療費通知(医療費のお知らせ)を捨てていたら医療費控除の対象にはならないのです。
逆にあれば、医療費控除の対象になります。
いつ病気や怪我で大きなお金がかかるのか分かりません。
万が一の時に医療費控除を確実に受けるためにも医療関連のものは必ず保管しておきましょう。
最後に:貯金30万円もなくて不安な人は都道府県民共済を活用しよう
ここまで、一人暮らしの場合は生命保険や医療保険はいらない理由を紹介してきましたが、中には医療費用の30万円の貯金がなくて、不安な人もいると思います。
そんな方にぜひ、おすすめしたいは都道府県民共済です。
都道府県民共済は普通の保険会社と違い、非営利団体の保険のことです。
通常、保険には保険会社の利益が毎月の保険料の中に組み込まれています。
しかし、都道府県民共済は営利を目的としていないため、料金は非常に安いです。
特に都道府県民共済は割戻金(わりもどしきん)というのがあり、余った掛け金が後で返ってきます。
一般的には掛金の10%~30%が返ってきます。
例:掛金が月額2000円、割戻率20%だったとすると
月額2000円×12ヵ月=年間2万4000円
24000円×20%=4800円(割戻金)
つまり、4800円が後から返ってきます。
そのため、実質年間掛金は1万9200円になります(2万4000円-4800円)
このように余ったお金を返してくれるのが都道府県民共済の最大のメリットです。
また、都道府県民共済の会員になると他にもメリットがあります。
例えば、僕が加入している都民共済ではオーダースーツやオーダーシューズを格安で作ることができます。
※全ての都道府県民共済でオーダースーツを格安で作れるわけではありません。ご自身が住んでいる県の県民共済を調べてみてください。
僕の場合、どちらかというとこのスーツが目当てで都民共済に入っています。
このように都道府県民共済は万が一のための保障だけでなく、別のメリットもあります。
心配性な方や医療費用の貯金30万が貯まるまでのつなぎ保険に加入したい方は都道府県民共済に加入しましょう。
[st-kaiwa1]会社にスーツを毎日着ていく人に都民共済は本当におすすめ![/st-kaiwa1]まとめ
今回の記事では一人暮らしの人が生命保険や医療保険に入る必要がないことを説明しました。
まとめると
- 生命保険は死亡保障のついた保険、医療保険は病気や怪我で医療費が必要な場合の保険
- そもそも自分が亡くなったときにお金に困る人がいなければ生命保険に入る必要はない
- 高額療養費制度を使えば医療費は格段に安くできる
- 医療は日々進化し、昔より入院日数が少なくなっている
- ほとんどの病気や怪我は30万円の医療用貯金があれば賄える
- 医療費が年間10万を超えた場合、確定申告すれば税金の一部が戻ってくる。その戻ってきたお金も医療費にあてれば、必要なお金はさらに少なくなる
- 30万円も貯金がなくて不安な方は都道府県民共済がおすすめ
保険会社などは将来万が一のために保険は必要だとメディアを使い、私たちを煽ってきます。
しかし、国の制度などをうまく活用すれば、保険は必要ないことが多いです。
保険会社のうたい文句に騙されず、保険に加入するかしないかを自分の頭で冷静に判断しましょう。